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水 沢 有 美

水 沢 有 美

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第13回

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第13回
第一部:夏木陽介主演『青春とはなんだ』(12)
裏山でお弁当~『青春とはなんだ』第38話「ひとりぽっち君」篇~
 

この第38話は女生徒ではゲストの梓英子さんがメインなので豊浦美子さん、岡田可愛さんに水沢有美さんを含めたレギュラーの女生徒たちはほとんど活躍する場面はありません。あえて言えば、園芸部の遠山智英子さんがめだつくらいでしょうか。
脚本は田波靖男さん、監督は高瀬昌弘さんで放映は1966年10月23日でした。サブタイトルでのキャスティング・ボードを見てみましょう。

1枚目 夏木陽介
2枚目 藤山陽子
3枚目 豊浦美子、岡田可愛、梓英子
4枚目 木村豊幸、矢野間啓治、関戸純方
5枚目 小川真司、杉本哲章、広瀬正一
6枚目 遠山智英子、松田八十栄、水沢有美
7枚目 十朱久雄、賀原夏子
8枚目 藤木悠

 今回の話のメインである進学組でも就職組でもない男子生徒役のゲストである小川真司さんが5枚目の冒頭です。6枚目に水沢有美さんらサブの女生徒たちが並んでいますが、今回は園芸部員として話に絡んでくる遠山智英子さんが6枚目の冒頭に置かれています。そして、ゲストスター的扱いで生物研究会部員の梓英子さんが3枚目に見えます。
 この梓英子さんの経歴について少し触れておくことにします。梓英子さんは、1964年に森美佐という名前で新東宝の映画に4本出演したのち1965年に松竹映画『若いしぶき』に出演し、その時から梓英子という芸名を名乗るようになります。映画では東映、日活作品にも出演しますが、1968年に大映と専属契約します。その大映も1971年には倒産してしまいます。その後はテレビを中心に活躍していましたが、1977年に結婚して引退されました。この『青春とはなんだ』第38話に出演する前年の1965年に『スパイキャッチャーJ3』にこの1966年には『怪人四十面相』にレギュラー出演されていました。私個人としては、1968年にNTV系で放映された高橋英樹主演の『かみなり三代』にレギュラーとして出演された作品が印象に残っています。高橋英樹さんは茶道家の御曹司なのですが、その本家筋の娘で元気のいい幼馴染という役柄だったと思います。
 さて、水沢有美さんは3シーンにしか今回は出演しておらず格別意味のあるセリフもありませんでしたので、今回の話の概略を述べてから水沢有美さんの登場場面を見ていくことにします。

〈森山高校3年生の森下(小川真司)は、進学もするでもなく就職をするでもなくまたクラブ活動にも参加していない孤独で目立たない男子生徒である。なにかあると山にある大きな木に登って一人孤独にひたるのだった。そしてついにその孤独感に耐え切れず生物教室にあった金魚鉢を割ったり、女子トイレに金魚を泳がせたりという悪戯をしてしまう。その悪戯でみんなが大騒ぎになったことで、悪戯もますますエスカレートしていく。順子(豊浦美子)の弁当箱にガマ蛙を入れたり、校長(十朱久雄)の机に引き出しに白ネズミを入れたりして野々村先生(夏木陽介)は校長から犯人を捕まえるよう厳命される。そんな折に園芸部の花壇が荒らされる事件が起きる。野々村先生は、花壇に撒かれていた白いヌカが森下の靴とズボンを白く汚していることに気づく。森下を宿直室に呼んで諭すのだったが、久保(木村豊幸)と寺田(矢野間啓治)が話半分だけ聞いて悪戯の犯人が森下であることを言いふらしてしまう。穏便に済ませようとした野々村先生の意図は反故にされ、ついに森下は学校からはじき出されることになってしまうのだった。野々村先生に怒鳴られた久保と寺田は、懸命に森下を説得して森下は学校に戻ることになり、園芸部員となって花壇を作り直すことになるのだった。〉

 それでは水沢有美さんの出演場面を確認していきましょう。今回は先に述べたように全体43場面中の3場面にしか登場しません。そのうち2場面は森下が悪戯したケースです。

第1場面(#11) 女子トイレ 開始13分頃
 女子の水洗トイレで泳ぐ生物研究会が飼っている金魚たちに驚く女生徒たちの中の一人として登場です。永井先生(藤山陽子)と女子生徒たち(豊浦美子、岡田可愛、水沢有美、松田八十栄)がトイレを覗いて騒いでいる所に山下みどり(梓英子)が飛び込んでくる。
 しかし、校舎は古い木造なのにトイレはちゃんと水洗トイレなのですね。この頃としては水洗トイレというのは、まだめずらしかったのではないでしょうか。

第2場面(#15) 裏山 16分頃
 裏山で弁当を広げている女生徒たち。画面の前列に順子(豊浦美子)、その後ろに勝子(岡田可愛)、佑子(水沢有美)、幸子(松田八十栄)、満子(松田八十栄)の4人がいる。この場面を採録します。

 勝子が弁当箱を開く。わりと豪華である。
佑子の声「わあ…」
勝子 「(自慢げに笑う)へへえ…」
 次に佑子が弁当箱を開く。
佑子 「うん、おいしそう」
 満子も開いている。
満子 「わあ、ごきげん」
 幸子の弁当箱のおかずは芋である。がっかりする幸子。
幸子 「わあ、またお芋…」
 隣同士の佑子と幸子はお互いの弁当箱を覗いている。
 勝子が前に座っている順子のもとへ歩み寄る。
勝子 「ねえ順子。何を持ってきたの」
順子 「いいもの」
勝子 「ねえ、わたしの梅干と取り替えようよ」
順子 「ダメよぜったいダメ」
勝子 「ううん。けちん坊」
順子 「今日のは特別製!」
勝子 「えー、なになに…」
 順子がおもむろに弁当箱を開く。すると中からガマ蛙が飛び出す。
「きゃーカエル」「気持ち悪い」と大騒ぎになる。

 この場面で、順子と勝子の絡み合いを眺めている水沢有美さんがお箸を使って指差してして幸子に二人のやり取りが「面白いわね」と無言でいうという細かな演技をしているのが見どころです。

第3場面(#26) 理科室 27分頃
 理科室で森下の背後でみんなが校長室での事件など一連の悪戯のことを話し合っている中に水沢有美さんらレギュラーの女生徒たちもいます。久保、寺田、勝子が主に会話しています。水沢有美さんの佑子は笑っているだけですが、山下みどりがやってきて森下を責めたてる際に二人のところに駆け寄ります。
 ちなみに水沢有美さんと森下役の小川真司さんは、1969年の『見合い恋愛』(日本テレビ)というドラマで共演されます。第6回「素敵なライバル」で銀座の山菜料理店のお嬢さんと板前という恋仲の二人という役柄でした。しかし、この『青春とはなんだ』では同じシーンにいるというだけでした。

 この後、花壇が荒らされる場面になるのですが、そこに集まっている生徒たちの中に水沢有美さんもいたかも知れませんが、画面上ではわかりませんでした。よって、今回は一応、上記の3シーンだったということにしておきます。ただ、一つ押えておくことがあります。それは、のちに水沢有美さんの<青春学園シリーズ>でのトレードマークになる頭の大きな白いリボンの本格的な登場がこの作品からなのです。実際の白いリボンで髪のアクセサリーとして使っているのは、前回登場の第36話「泣き虫健介」で見られるのですが、目立つような大きさになるのは、これ以降になるのです。水沢有美さんによれば、これはお母さんのアドバイスだったようです。ロングショットなどでどこに水沢有美さんがいるのかわからないので、「髪飾りとして頭髪に白いリボンをつけたら目立つわよ」ということだったようです。確かに水沢有美さんを群集シーンでも容易に見つけ出せるようになります。そして白色だとモノクロ画面でもその後の『進め!青春』のカラー画面でもよく目立つのです。

 さて、次回の第39話「大空に夢を描けば」では、久しぶりに土田早苗さんが登場し、最後の旧三人娘の優秀の美を飾ることになります。 


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